「厳しさの中にぬくもり」
家族のようなあたたかさがある学校

建学の精神は「報恩感謝」。これは、創立者・牧田宗太郎が実母に感謝し、恩返しをしようと学校を創立したことに由来する。そんな哲学を土台としながら、「人をつくる」の教育理念のもと、現代に合わせて2つのテーマを掲げている。

1つ目は「実践躬行」だ。自分の力で繰り返し行うという意味で、単に知識を身に付けるだけではなく、試行錯誤しながら挑戦してほしいというメッセージが込められている。2つ目は「Manners makes man」。礼儀正しさや態度が品性の備わった人をつくるという意味だ。創立者・宗太郎がイギリスの最古の学校と言われるウィンチェスタースクールを訪れた際に、人々の紳士的な態度や上品な立ち居振る舞いに感銘を受けた。そのルーツが学校教育にあると感じたことから、この言葉を日本に持ち帰り校舎の壁面に刻んだという。いずれも揺るぎない教育テーマであり、同校の教育の根幹をなしている。学力と人間性の一方だけを高めるのではなく、双方を育みながら「人づくり」を実践している学校だ。

あたたかな雰囲気で学園全体が大きな家族となる
あたたかな雰囲気で学園全体が大きな家族となる

主体性にフォーカスした数々の取り組み
「探究心」を刺激する宿泊研修とコース設計

「3年制のみで募集しているのは、関西では本校だけです。そのため、専願率は90%を超えています。生徒は3年後に高校を自ら選択することができ、保護者は高校受験のタイミングで子どもの成長を確認することができる点でも、高い評価をいただいています」と中司企画部長。これまでに築き上げてきた探究と国際教育の成果を、3年間のカリキュラムに凝縮。心と体が急速に成長する多感な時期だからこそ、それぞれの可能性の扉を開けるような力を身に付けることができる。

行事の中にも、「探究心」を刺激する仕掛けがある。たとえば、宿泊研修。中1・中2全員で淡路島を訪れ、自然の中でグループ学習を行う。チームは中1・中2の合同で編成され、テーマこそ設定されているものの、他は生徒たちの主体性にまかせているという。入学当初から「調べ・まとめる力」を鍛えてきた先輩を目のあたりにして後輩は刺激を受け、先輩は教えることで理解を深めていく。3日間の中で、他にも選択制のプログラムを多数用意。カッターボートや淡路島の良さを伝えるCM制作、砂の造形アートなど。いずれも生徒たちが主体的に考え、行動できるような仕掛けがある。宿泊を終えても、主体性をもって日常の学習に向かえるようになるという。中3になると修学旅行があるが、こちらも伝統的に生徒自ら企画を立て、スケジュールを組む。自主的な興味から生まれた内容だからこそ、その体験は自己肯定感を高め、自信につながっているという。

学習面でのフォローにも余念がない。進路や習熟度に応じた『発展文理クラス』と『発展探究クラス』の2コース制で基礎の土台固めから発展まで、レベルアップに務めている。『発展文理クラス』は例年、北野・天王寺・大手前、西大和・洛南等の難関高校へ合格者を多数輩出。応用力を磨き、難関公立や最難関私立高校への進学を目指すコース。『発展探究クラス』では知的好奇心や可能性を引き伸ばし主体的に物事に取り組む力を育んでいくコースで、進学先は実に多様。内部進学する生徒もいるが、中学3年間で基礎力や主体性が備わり、高校ではトップクラスの成績を誇るという。

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