教育理念を現代へ具現化
世界標準の教育が始まる

創立者・小寺謙吉は、留学をきっかけに英国の名門イートンカレッジを模範とした学校を設立。さらに「生徒と教師のつながりを大切にしてほしい」という願いから、「質実剛健、親愛包容」という校訓を定めた。以来、関西随一の自然豊かな教育環境のもと、おおらかで豊かな人間力を育む全人教育を実践している。

「このたび、改めて校祖の言葉や理念を読み返し、学校改革の方向性を位置付けました。核となるのは、世界標準の教育の大切さ。そして、グローバル社会に対応した人材育成の必要性です。世界標準とは、まさに三田学園が掲げる知・徳・体のバランスが取れた全人教育。伝統を受け継ぎながら、より深い教育、体験が待っていると考えてください」と丸泉理事長は話す。期待が高まる具体的な教育プログラムについて、さらに紹介は進む。

「STREAM」「GCP」
心が揺さぶられる探究SGメソッド

「STREAM教育」でグローバルスタンダードな学び
「STREAM教育」でグローバルスタンダードな学び

数年前から教育業界でトピックスとなっている「STEAM教育」。科学・技術・工学・芸術・数学の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語で、理数教育に創造性を加えた教育理念。「探究」と「創造」のサイクルを生み出す教科横断的な学びのことだ。同校ではこれにRobotics(ものづくり)のRを加え、独自に「STREAM」をスタートさせた。入学直後の1学期は羽ばたき飛行機を製作。ここで、教員は作り方を教えない。動画を見ながら観察し、試行錯誤を繰り返しながら模倣していく。「完成を思い描くイマジネーションと、ものを組み立てて創り上げるクリエイションが重なり合う中で、生徒それぞれが自らの正解にたどり着きます」と鈴木主幹教諭が説明する。失敗してもあきらめない心や観察力、適応力が高められるという。「中2の終わりまでに自走式ロボットを一人1台作ります。3Dプリンターでパーツを製作する工程も経験します。そしてロボット制御のプログラミングに取り組み、最終的にロボットを自走させるところまでたどり着きます」と続けた。好奇心や探究心がくすぐられ、自然と思考力や表現力が備わっていく仕組みだ。 

教育改革のもう一つの柱が、「GCP」と称したグローバル・コンピテンス・プログラム。多様性のある社会で自分の能力を発揮するために必要な資質(コンピテンス)を育てていくという意味が込められている。多様な価値観が存在する中で、自分と他者の価値観の違いを理解し、それを受け入れたうえでコミュニケーションできる能力を育む学習プログラムだ。英語をツールとして使いこなすことを目標に、オールイングリッシュで行う。高校では環境問題や社会問題を扱うディベート形式へと移り、立場の異なる意見を理解しながら自分の意見を主張する経験を積む。グローバルリーダーとして必要な資質を高めていく。

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